滑稽なものを笑うではなく、気恥ずかしさに頬をほころばせるではなく
人の真似事は上手くできるようになったけど、ついに人として生きる事はどうしてもできなかったな。
普通の人(あえてこういう言い方をする)ができることができなくて、それを自分の能力不足やなんらかの障害と思いたくなくて、自分が人じゃないと思うようにしたら救われるような気がした。
それは特別感が欲しいとかじゃなくて、ある種の防衛本能のようなものだったのかもしれない。
人間のふりをしているうちに、本当に人間になってしまうんじゃないか、怯えていたし、期待していた。結局杞憂だったし、楽観だったな。
私はなんだったんだろう。処刑台が近付いている。息をするたび、言葉を吐くたび、あらゆる方法で少しずつ死んでいく。世界が眩しすぎて、それ以上に汚れすぎていて、目が潰れてしまったよ。
誰もいない所へ行きたい。そこでならもっと上手くやれるから。
患者が窓際のベッドなら、病気が良くなると思っているみたいに。美しい場所でなら、暗い場所でなら、寒いところなら、ここじゃないどこかなら、この世界の外でなら、もっと上手く。