joseph carey merrick.

幸せになりたいだけなのに

帰り道の在処を

 

今日も少しだけ死んだ。認識できないほど少しずつ、緩やかに死んでいく。処刑台への階段を登るかのように終わりに向かっていく。もしかしたら、もう首に縄を掛けているのかもしれないな。喘鳴が止まらないのもそのせいかもしれない。

 

道を行く人達が虫の群れに見えた。楽しそうに笑う声は悲鳴に聞こえた。どうも私はこの世界に向いていないらしい。先生は無作為な単語を投げかけて、私はそれに答えた。「死」に対して「真っ白」と答えた事だけ覚えている。身体があまりにも重くて、自分のものなのか疑わしく思った。それが薬のせいなのか、ニコチンとカフェインの副作用なのか、6月の気候のせいなのか、今まで積み重ねてきた業か、最初から自分のものではなかったことを思い出したのか判別できないでいる。それでも現象は常に起こり続ける。起こり続けた。私はそれを眺め、他人事のふりをする。現象が果実だとしたら、それを作った枝が、幹が、根があるはずなのだ。でも私にはそれがなかった。

 

秒針はいつも終わりを指し、短針は必ず始まりを指す。日が沈むのも夜が明けるのも怖い。

 

 

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